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新聞に掲載されました

◆2011年3月 朝日新聞

リポートみえ 県産小麦高まる人気

 世界的に小麦価格が高騰する中、県内では地元産の需要が5年ほど前から増えている。作付面積は昨年産で全国7位で、収穫量の約95%が県内で流通した。生産と消費を結びつけたのは、新品種の導入と、地産地消の付加価値。県は生産増を掲げるが、販売価格が安く、農家は補助金に頼らざるを得ない状況もある。(高浜行人)

収穫の95%県内で流通
  「あやひかり」麺10万食を販売

 大きな音をたてる16台の「ロール機」。中には小麦粒が流れ、順に粉状になる。ふるいにかけられ、1時間に6トンの小麦粉ができる。
 津市河芸町東千里の「平和製粉」。樋口宗明社長(46)は「主力は県内産。大手のできやんことをやっていかんと」と話す。
 2011年の予定製粉量約2万トンのうち、6千トン近くが県内産。北海道産と合わせて国産は1万トンを超え、国内の平均自給率11%(09年速報値)を大きく上回る取扱量だ。安い外国産が主流の製粉業界では異例の数字だ。

記事6

県産小麦を製麺する「堀製麺」の堀哲次社長=四日市市

 平和製粉でも10年前は、国産は2割ほどで、外国産と混ぜてひくことが多かった。国産を増やしたのは02年、県産小麦「あやひかり」が登場したのがきっかけだった。
  「中小にしかできない『単体びき』をあやひかりでも始めたんです」。大手は、在庫リスクなどから特定の産地や品種の小麦だけを分けてひくことをしない。そこで、地元産の付加価値を売りに、あやひかり100%小麦粉の生産に乗り出したという。
 平和製粉から入荷する四日市市北小松町の「堀製麺」は、安全安心を消費者に訴えようと県産あやひかりを使った「三重県産小麦伊勢うどん」(2袋980円)を8年前から販売する。堀哲次社長(50)は「麺にすると軟らかく粘りがあり、伊勢うどんにぴったりだった」。今やスーパーへの卸売りやネット通販で10万食を売る目玉商品になった。
 県内産の小麦需要は、昨年1万8千トンを超えた。同市北小松町で、16ヘクタール中8ヘクタールであやひかりを作付ける農事組合法人「キタコマツフォーム」の堀英雄代表(69)は「背丈が短く倒れにくいので導入した。生産にも力が入ります」。

多様な品種が後押し

 小麦の需要拡大を後押ししたのは、あやひかりだけではない。県が多様な特徴を持つ小麦を他県から導入したことや、製粉会社が県内に3社もある要素も大きい。
 県中央農業改良普及センターによると、10年前、県産小麦は「農林61号」のみ。あやひかりの導入と平行して、麺に向くタマイズミ、硬いパンに向くニシノカオリを導入。品種ごとに主産地を分けて生産を増やした=図。県内の製粉会社は、小さい生産単位にも対応してきた。
 約17ヘクタールでタマイズミを作る伊賀市山畑の山下弘文さん(56)は、収穫した小麦を県内の製粉会社を通じて東京・武蔵小山の「ネモ ベーカリー&カフェ」に年2トンほど卸している。シェフの根元孝幸さん(40)が07年秋、「生産者の顔が見えるパンが作りたい」と山下さんを訪ね、フランスパン「タマイズミ」(220円)が誕生。店には山下さんの畑の写真も置いている。

課題は生産増補助金が頼り

 小麦は、米を作っていない水田を使って栽培することが多いため、米の減反政策に左右されやすい。県内では不作だった10年産の生産量は1万600トンで、需要の6割に満たなかった。
 県が目標にする13年産の生産量は2万トン。耕作放棄地を活用する指導や、新品種「さとのそら」の普及のため農家で生産試験なども試みる。
 だが、小麦は国内消費量のほとんどが輸入で、米国、豪州の広大な畑で作られる。そのため販売価格は安く、国内農家が対抗するには、その3倍ほどの戸別所得補償制度の補助金で生産費をカバーせざるを得ない。
 日本では耕作地の半分以上を水田が占め、担い手の米農家を保護してきた。小麦はあくまでも減反を補う「転作作物」に過ぎないのが実情だ。
 さらに、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加で関税が撤廃されれば値下げは必至で、戸別補償の財源を不安視する声も出ている。
 山下さんは「三重の土地はあまり小麦に向いていない。補助金と合わせて米の方が利益が出るなら、そっちを多く作らざるを得ない」と話す。

小麦の生産と販売

一般的に11月に種をまき、6月に収穫。米と二毛作が可能で、水田を利用するケースが多い。全国生産量の75%が全農を通じて製粉大手4社に流通する。米の標準的な販売価格60キロ約1万2千円に対し、小麦は約2500円。生産費は8千円以上かかるとする試算もある。2011年度の戸別所得補償制度の補助金は、水田活用交付金3万5千円(10アール当たり)、麦や大豆などの畑作物が対象の補助金6360円(60キロ)など

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◆2009年7月 中日新聞

 伊勢うどんは、太くて柔らかく、もちもちしためんを濃いタレに絡めて食べるのが特徴。掛けうどんと違い、めんそのものの味も楽しめるため、堀製麺の掘哲次社長は「小麦の風味が残る全粒粉のよさが生きる」と開発を決めた。

 堀製麺では、うどんに適した品種「あやひかり」の小麦粉に、「タマイズミ」や「ニシノカオリ」の全粒粉を混ぜた。全粒粉が入ると、バサバサとした食感が出るが、配合を工夫して食べやすくした。 大阪市内でのイベントで来場者に試食してもらったところ、食感はまだ課題が残ったが、「風味がいい」「健康によさそう」と味と見た目は、比較的公表だった。(中略) 堀社長は「もちろん(本場の) 伊勢うどんに極力近い商品にしたいと応じる。
記事6
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◆2009年3月 伊勢新聞

  本来であれば捨ててしまう小麦の表皮や胚芽などをすべて粉にした全粒粉。堀製麺は、全粒粉を配合した県産小麦100%の伊勢うどんを開発。国の平成20年度地域産業資源活用事業の認定を受けた。

全粒粉はビタミンや食物繊維などが豊富で栄養価が高いことから、近年の健康志向を背景に、パンやクッキーに使われることは多いが、うどんへの使用は珍しい。4月ごろの発売を目指す堀哲次社長は、 「太くてモチモチとした伊勢うどんに全粒粉は合っていた。小麦本来の味が感じられる商品に仕上がりそう」と話している。 

記事5
以前から全粒粉入りめんの商品化を行っていたが、取引のある製粉会社が粒子をさらに細かくする技術を確立したため、配合割合を引き上げることに成功。高い割合で混ぜても、 ざらつき感のないうどんに仕上がった。一般的なうどんと比べても、太い伊勢うどんは、全粒粉との相性が良かったという。健康や小麦のおいしさを打ち出しながら、道の駅や百貨店、 サービスエリアなどで販売する考え。うどんは、子供から高齢者まで幅広く好まれ、消化も良いため、福祉施設や病院などへの導入も視野に入れている。(続)
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◆2007年11月 MIESC(ミエスク) Vol.253

麺類の歴史をたどると、人類の食文化に及ぶほど奥が深い。一方では、これほど、身近な食材もない。日持ちのことを考えると、麺類は地産地消の典型と話す堀さんの話を聞きました。

<最近の製麺業界をとりまく環境について教えてください>

堀: 業界は決して明るい話題ばかりではありません。麺作りに必要なラインを動かすための重油などが高騰する中で、販売を行っているスーパーからは納入価格の引き下げ要求が非常に強く なってきております。

記事4
これでは、企業として利益を確保するための経営努力は限界を感じるときもあります。業界団体である、三重県製麺協同組合の事務局を努めていますが、組合加盟企業数は20年前に100社だったものが 10年前に60社に減少。現在は38社にまで減っています。中には南勢地域にある企業が昨年の台風による被害を機に廃業したケースもありますが、過疎化の影響もあり、再建が難しいと判断せざるを得ない 市場の状況でもあります。(続)
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◆2006年9月8日 朝日新聞28面(三重)
伊賀産の小麦「タマイズミ」を使った「伊賀忍術生ラーメン」を、伊賀市のJAいがほくぶが製粉業者らと協力して開発し商品化。同市木興町の営農生活センターで販売を始めている。タマイズミ特有のこし の強さが特徴で、屋台のラーメン店を思い出させる昔ながらの味に仕上がっている。
JAいがほくぶ管内で栽培される小麦は、ほぼタマイズミ1品種で、今年は約450ヘクタールで約900トンが収穫された。タマイズミは比較的高たんぱくで中華めんなど麺類に適しているといい、 99年頃に試験的に栽培を初め、小麦の主力品種になった。

記事3
これまでも消費拡大をねらって、そうめん「伊賀の糸」などを商品化してきた。今年7月から、四日市市の製粉業者や製麺業者と協力して中華めんの開発に着手。こしが強く歯ごたえがあり、 ほんのりと小麦の甘さが感じられるめんに仕上がった。スープはシンプルなしょうゆ味。2食セット300円、6食セット900円(いずれも税込み)で販売する。
JAいがほくぶ生活部の福井明部長は「忍者のように大化けして伊賀の名産になれば」と話している。近いうちにJAいがほくぶのインターネットなどでも販売を始める予定という。 問い合わせは同センター(0595・21・3500)へ。
忍術生ラーメン


◆2006年9月6日 産経新聞27面(三重2・伊賀)
記事2  JAいがほくぶが、地元産の小麦を使ったラーメンを商品化し、「伊賀忍術生ラーメン」の名で5日、販売を始めた。
同商品は、小麦の中でも品質が良いとされる「タマイズミ」をもとに、JAが四日市市内の製麺会社と今年7月から商品開発を進めた。麺にコシがあり、しょうゆスープであっさりとした味わい。
「昔の屋台のラーメンの味をほうふつさせる」(同JA)という。
同JAが管轄する伊賀市内(青山地区を除く)では、稲作面積約2000 ヘクタールのうち、約3分の1が転作しているという。このうち年間約900トン生産される小麦を、伊賀ブランドとして生かすため、今回の生ラーメンを商品化した。
忍術生ラーメン


◆2006年9月6日 中日新聞 (三重)
四日市市北小松町のめん類製造業「堀製麺(麺)」が、伊賀市産などの小麦「タマイズミ」を使った「伊賀忍術生ラーメン」を作った。伊賀市木興町のJAいがほくぶ営農生活センターで販売している。
県内で生産されている小麦約1万4千トン(2005年)のうちタマイズミは約1200トン。同社では生産量が伸びている品種を広めようと5月中旬から生ラーメンの開発を始め、試作を重ねた結果、 しょうゆスープと相性の良い細めんが完成。商品名は伊賀市が伊賀流忍術発祥の地であることにちなんだ。「ゆでると、鮮やかな黄色の麺の色が出る」(県農畜産室)という特徴があり、 コシを出すために卵白を練り込む工夫も。

記事1
堀哲次社長は「小麦本来の甘みを感じる仕上がりになった。多くの方に食べてもらい、県内産の小麦粉を知ってほしい」と話している。1パック2食入りで300円。 11日からは、四日市市と菰野町にあるJA三重四日市の直売所4箇所でも販売する。